MT4のEAなどのFXにおけるフィボナッチとは、「1:1.618」という人間が最も美しいと感じる黄金比率をチャートに組み込んで、相場の転換点を予想するテクニカル分析です。フィボナッチ数列とは、「前のふたつの数字を足した数字が次の数字となる」という数学的な法則です。「1、1、2、3、5、8、13、21」のように、計算を続けると「1:1.168」の黄金比に近づきます。FXのチャートはある程度トレーダーの心理によって形成されていると言われています。チャートの観察を続けると「上昇が続いているとそろそろ下がりそうだ」などと予想します。その心理をもとに売買を行うので、一定のトレーダー心理がチャートに反映されています。それが人間の心理的に美しいと感じる黄金比のチャートが出現すると考えられています。余談ですが、この黄金比率は「モナ・リザ」やピラミッド、パルテノン神殿などにも使われています。

フィボナッチには、「フィボナッチ・リトレースメン」「フィボナッチ・タイムゾーン」「フィボナッチ・ファン」「フィボナッチ・エクスパンション」などいくつかの種類があります。今回はその中でも「フィボナッチ・タイムゾーン」について解説していきます。フィボナッチ・タイムゾーンは、分析チャートの横軸(時間軸)の分析を使用し、今後どのタイミングで高値あるいは安値の波が来るかを予測します。

MT4においてフィボナッチ・タイムゾーンの引き方ですが、まずはMT4上部のツールバーから「挿入」を選択し、「フィボナッチ」→「タイムゾーン」をクリックします。そこからチャート左側でトレンドの起点と終点を探し、指定します。するとそこを基準にタイムゾーンを割り当てられます。ラインの間隔は「「1,2,3,5,8,13,21,34」」の初期数値を利用するのがおすすめです。

フィボナッチ・タイムゾーンは、トレンドの転換を判断するのに使います。トレンドの転換点を見極めることで、利益確定をするタイミングを判断することができます。たとえば下降トレンドの終点ライン①でエントリーを行い、次のライン②でトレンドの終わりと判断し、利益確定を行います。同じようにタイムゾーンを参考に売買のタイミングを判断していきます。フィボナッチ・タイムゾーンは、ある程度相場の波が完成してからタイムゾーンを引くため、直近の値動きはすでに終わっています。そのため目安にするのはライン⑧〜⑬など、先々の値動きに目安をつけたい場合に利用します。

フィボナッチ・タイムゾーンの注意点として、フィボナッチ系のテクニカル分析はあくまで補助的な使い方をされる場合がほとんどで、これだけで売買のサインとして使うのには不向きです。移動平均線やボリンジャーバンドなどメインのチャート分析と併せて利用してください。同じフィボナッチ系で相性がいいのは、押し目・戻り目を予測するフィボナッチ・リトレースメントや利益確定の価格を予測するフィボナッチ・エキスパンションです。基本的に他のツールと合わせて使うテクニカル分析であるため、フィボナッチ・タイムゾーンだけを使ったEAもほとんどないと言えるでしょう。

加えてフィボナッチ・タイムゾーンを使う人はあまり多くないため、指標が出たとしても強く売買が意識されにくく、目安が効果的でないとも言われています。多くの人が利用している移動平均線で売買の指標が出れば、それに合わせて多くの人が注文を入れます。それにより相場が変動することがありますが、利用者の少ないフィボナッチ・タイムゾーンでは、そういったことが起きない可能性があります。このようにフィボナッチ・タイムゾーンの特徴を理解した上で、テクニカル分析の手法として利用するようにしてください。

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